主訴:腰部~右臀部にかけての痛み。
背景:テーブルを持ち上げようとした際に腰臀部に鋭い痛みを感じた。
触診:負傷部位に強い圧痛。周辺筋群には筋緊張亢進。
検査:ROM計測、SLR、kempテスト。
考察:腰部に負担のかかるポジションでの重量物の移動が筋肉の損傷を招いたものと考える。
治療:あん法、電療にて負傷部を施療。疼痛が強かったためハイボルトを用いた高周波施療を実施し、負傷部位を絆創膏固定。後日、疼痛の緩解が認められたため腰部のモビリセージョン(骨盤矯正)を行い、骨盤及び股関節の運動性を促した。
ご存じの方もおみえになるかもしれませんが、実は腰痛には起こりやすい条件が存在します。自身の環境や習慣などが主なものとなりますが、作業の姿勢もそのうちの一つとなり重量物を運ぶ際などには注意が必要です。
私が患者さんに腰痛予防のアドバイスをさせていただくときにはよくテコの原理を例にとってお話しさせていただくことが多いのですが、シンプルにお話しさせていただくなら『荷物は体の近くで持ち上げましょう。』この一言に尽きます。荷物が体から離れた状態で持ち上げる際には肩や腰に大きな負担がかかりトラブルを招きやすくなりますが、荷物が体から近いところにまで引き寄せてから持ち上げるならば、肩や腰にかかる負担は比較的軽微なものとなります。腰痛の予防は日々の手入れにもよりますが、このような理屈を知っておけばトラブルを免れることができます。
“ 彼を知り己を知れば百戦殆うからず ”ではありませんが腰痛の発生メカニズムを知ればトラブルの回避に大いに役立ちます。どうぞ今後もお気をつけてお過ごしください