肘内障
肘内障とは、近位橈尺関節の亜脱臼状態で、輪状靭帯がずれている状態のこと。2歳から4歳の幼少時に多く発症する割合が高く、男女比で見ると女児に多い傾向がある。発生頻度が非常に高く、繰り返す場合がある。別名肘引っ張り症候群
原因
手を強く引っ張ることや前腕回内力が働くことにより発生する。他にも、布団の上などで前腕回内位で腕を体の下にして転がっていて、腕が体に巻き込まれ発生する例もある。
症状
肘関節の運動時痛があり、ある程度の自動運動は可能、肘関節の外側部に痛みがある。腫脹、発赤は認めない。
検査・診断
特別な検査法はなく、問診上・身体所見などから判断する。
治療
治療法としては、特別な固定は必要としない。患部への冷湿布や提肘程度でいい。ただ保護者に手を引っ張ることにより発生することを説明し、繰り返しの発生を防ぐための指導が必要となる。整復方法は、患者の前腕を一手で、他手で肘関節付近を把握し、母指頭を橈骨頭に当てる。前腕を回内または回外しつつ母指で橈骨頭を圧迫すれば軽いクリック音とともに整復される。他にも、患肢を回外位に肘関節を伸展させ、その患肢から完全屈曲して回内、回外の操作を施して整復する。
岡本屋で治療を行うなら
まず、肘関節を構成する前腕の骨が外れてしまっているので徒手整復で治します。脱臼の整復の中では比較的容易な部類には入りますが、繰り返しの脱臼に移行するケースもあるため治療を確実に完結させる必要があります。
- 外れてしまった前腕を徒手整復で元の位置に戻します。
- 絆創膏固定を行い、患部の安静を図ります。
- 反復性の脱臼への移行を防ぐために生活指導を行います。
運動器ひとくちコラム
●小児の化膿性関節炎
乳幼児は免疫力が弱いため、大人より細菌(いちばん多いのは黄色ブドウ球菌)が血液の流れに乗って関節に入りやすく、関節のなかで増殖して膿がたまる(化膿性関節炎)ことがあります。膿を出し(排膿)、細菌の種類を調べ、それに効く抗生物質で治療します。